これは松園園区で唯一の木造建築です。日本式建築が持つ防湿と断熱機能を備えており、高くなった木の床、欄間等細微な設計を見ることができます。木造家屋は当時は、日本軍の集会或いは重要な会議を開く場所でした。室内中央には、かつて天皇の写真を掲げていた神棚がありました。神風特攻隊の隊員が出征前にここで、最高指揮官が天皇に替わり「御前酒」を与えたとも伝わり、敗戦後に、当時の最高指揮官がここで自決したとも伝えられています。

木造家屋の改修過程には非常な工夫が払われました。当時は天井が雨水により腐蝕しており、床板も腐食で破損していました。人の胸のように巨大なポトスが右半分の壁面をびっしりと覆っていました。今も損壊していなかった外壁のウリン材に過去にポトスが這っていた痕跡が残っています。施工機関は最も自然で古朴な質感を表現するため、各地から健康な古い木材を集め、修復しました。頭を上げてよく見ると、門の上方には「光復」の印が残っています。引き戸上方のレールにも小さな通し番号のラベルが残っており、修復の苦労が忍ばれます。